香りが心と体に届く仕組み~嗅覚と皮膚で感じるアロマの力~
「アロマのきほん~5分で学べる10のレッスン」の5回目は、精油が私たちの心や体にどのように働きかけるのか、そのメカニズムを分かりやすくお伝えします。精油の作用には大きく分けて「嗅覚」と「皮膚吸収」の2つのルートがあります。それぞれがどのように心身に影響を与えるのか、一緒に見ていきましょう。
嗅覚を通じたメカニズム
香りを嗅ぐと、鼻の奥にある嗅覚神経が反応し、その信号が脳の「大脳辺縁系」という部分に届きます。この大脳辺縁系は「本能の脳」とも呼ばれ、感情や記憶をつかさどる大切な場所です。また、自律神経やホルモンバランスを調整する視床下部や下垂体とも密接につながっています。
つまり、香りは私たちの自律神経やホルモンに直接働きかけ、心や体のバランスを整える手助けをしてくれます。このバランスを保つ機能、「ホメオスタシス」は、心身の健康に深く関係していますので、次回のレッスンで詳しくお話しします。
さらに、香りが脳に届くのはほんの一瞬、約0.06秒とも言われています。この速さで、心地よさやリラックス感を瞬時に感じられるのが、アロマの魅力です。
また、嗅覚を通じて精油を楽しむ方法は、皮膚に直接触れないため、刺激の心配が少なく、初心者にも気軽に取り入れやすいというメリットがあります。
皮膚吸収によるメカニズム
精油は非常に小さな分子で構成されているため、皮膚に塗布するとその一部が角質層を通り抜け、真皮まで到達します。
そこから血流に乗って全身へと運ばれ、各臓器に届いて体にさまざまな作用を与えます。さらに、塗布した部分には局所的に働きかけ、例えば、傷の回復を助けたり、赤みを抑えたりする効果が期待できます。
「精油が体に入って大丈夫?」と心配されるかもしれませんが、安心してください。精油の成分は約1時間半ほどで全身を巡り、その後は呼気や汗、尿として自然に体外へ排出されます。
正しい濃度で使用すれば、アロマテラピーは安全に楽しむことができます。
安全にアロマテラピーを取り入れるために
精油にはさまざまな薬理作用があり、正しく使うことで心と体の健康をサポートしてくれます。
しかし、日本では精油は雑貨として分類されているため、万が一皮膚刺激などのトラブルが生じた場合、自己責任となります。
だからこそ、精油のメリットとリスクをよく理解し、安全に活用する知識が重要です。例えば、精油を皮膚に塗布する際には、適切な濃度と使用方法を守ることが不可欠ですし、パッチテストで反応を確かめることも大切です。また、各精油には異なる成分が含まれており、それぞれに特有の作用があるため、目的に応じた選択と適量の使用もポイントとなります。
正しい知識を持って精油を取り入れることで、日々の生活に心地よい変化を感じられます。安全にアロマテラピーを楽しんで、豊かで健やかな毎日を過ごしましょう。
次回は、心身のバランスを保つ「ホメオスタシス」の役割について、もう少し詳しくお話しします。